
【乃木坂46】5期生版セラミューが最高すぎた件。
Dec 26, 2024 21:39
2024年4月、東京・水道橋「IMM theater」にて、乃木坂46 5期生版 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」が上演。井上和演じるセーラームーン率いるTeam MOONと、菅原咲月が演じるセーラームーン率いるTeam STARの二手に分かれて公演が行われた。
井上ムーンのTeam MOONには、マーキュリーに小川彩、マーズに岡本姫奈、ジュピターに五百城茉央、ヴィーナスに池田瑛紗が入った。

一方、菅原ムーンのTeam STARには、マーキュリーに中西アルノ、マーズに一ノ瀬美空、ジュピターに冨里奈央、そしてヴィーナスに川﨑桜を要して公演が行われた。

なお、奥田いろははクイーン・セレニティとして映像出演している。
私の現地観劇は、MOONが1公演、STARが2公演の計3公演であった。
↑1回目のTeam STAR観劇
↑2回目のTeam STAR観劇
↑Team MOONの観劇
観劇後の私には、この感想しか出てこなかった。
乃木坂46版セラミューは、2018年、19年に続き4年半ぶり3度目の公演。今回は、過去2回(3チーム←18年は2チーム構成)と違い、乃木坂ちゃんのメンバー構成が全員同期で行われた。
実は、私も前回のセラミューには興味自体はあった。しかし、乃木オタになりたてだったこと、さらに真裏でアンダラが開催されておりそちらの参戦を優先したことが重なり、観に行く事ができなかった。
私にとっても、4年半越しの悲願。今回こそは何としても見に行きたかった。ましてや、私が愛する5期生だけのセラミュー。想いは強くなるばかりだった。
チケットを手に入れた私は思った。観劇する前に予習するべきか否か。
実は、19年版セラミューでは、千秋楽の公演がCS・TBSチャンネル1にて生中継がされており、その模様を録画してあった。今更ながらだが、あの時の私を褒めてあげたい。(Huluにもあるけど)
結果的には、予習はせずに観に行った。
その方が、何もかもをフラットに見ることが出来るからだ。
何も知らない状態で観に行った結果、ファーストインプレッションがまさかのココだった。
参戦した方や配信を観た方なら分かると思うが、このハコにはフライングの設備がある。冒頭のうさぎが東京タワーから落ちる夢のシーンや、ジュピターの戦い中にもワイヤーが使われている。それでも、終わってみればそんなファーストインプレッションをも超えてくる感想だった。
ここからは、セーラー戦士を中心に、私が思った各々の感想を述べていこうと思う。
※普段の記事では敬称略で苗字ないし名前で記入しているが、今回は「なぎムーン」や「アルノマーキュリー」などのように、「愛称+役名」のように羅列していく。(一部を除く)
月野うさぎ/セーラームーン
TEAM STAR:菅原咲月

Team STARで主人公のセーラームーンを演じるは菅原。彼女が演じるうさぎは、一言で言ってしまえば人間味が強いセーラームーンとでも言うべきだろうか。
にゃぎムーンに関しては詳しく後述するが、にゃぎムーンがアニメっぽさ全開なのに対し、咲月ムーンは、主人公らしさが全開だったと思う。
特にそう感じたのは、1幕の最終盤。うさぎ自身の前世が、シルバー・ミレニアムの継承者だったところを思い出したあと。うさぎを庇ったタキシード仮面が、クイン・ベリルからの攻撃を喰らい命を落とす際の叫びと、クンツァイトにタキシード仮面(の中にある幻の銀水晶)を奪われた所の叫び。菅原がこんなにも強い感情でうさぎを演じている所に涙を流さざるを得なかった。彼女は本当に5歳児を演じた人と同一人物だったっけ?と疑いたくなるほどだった。
歌唱においてもそれは一緒で、普段の菅原の歌唱の中にも、セーラームーンとしての力強さと正義感を兼ね備え、普段よりもレベルアップしていた。
また、冒頭で「ドジでちょっと泣き虫」と自らを紹介しているが、それが垣間見えたのが大千秋楽のカーテンコール。
「乃木坂46 5期生版 ミュージカル 美少女戦士セーラームーン 2025」と堂々と宣言してしまった。
隣に立っていた井上は、呆然としながら咲月ムーンをガン見していたが、裏を返せば、これもうさぎの特徴であるドジっぽさに当てはまると言えるのではないだろうか。彼女はどこまでうさぎに憑依していたんだ。今後、演劇仕事が舞い込んできたら、追ってみたいと思った。
TEAM MOON:井上和

一方、Team MOONで主役のセーラームーンを演じたのは、5期のエース・井上。ここは妥当な配役だと思う。
井上自身、超・乃木坂スター誕生!でも完全プロデュースでボカロSPを組んだり、「残酷な天使のテーゼ」を歌うなど、大のアニメ・ボカロ好き。
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↑スタ誕・井上プロデュースのボカロ回
だからかは分からないが、咲月ムーンのところで書いたように、咲月ムーンと比べて、アニメっぽい声で演じていた。それでも、そこのどこかにいつもの井上がある、なんとも絶妙なバランスの声であった。
にゃぎムーンには、圧巻すぎる演技があった。それは、1幕最後。(この時の劇中歌については後述する)
タキシード仮面(エンデミュオン)が命を落とし、エンデミュオンが「ほら、涙を拭くんだ、セーラームーン」というセリフがある。ここで実際に涙を流していたのだ。
第一、欲しい時に欲しいだけ涙を流すのがプロの俳優。しかし、井上はこの世界に入って3年目のアイドル。しかもこれが舞台初出演。ここにも5期生のエースたる所以を感じた。
そんなにゃぎムーンを、演出・ウォーリー木下氏はこう評する。
井上和さんは、モヤモヤを抱えていたけど、自分が月のプリンセスだと理解すると運命に導かれていく。井上さんは、より演劇的なんです。EX大衆7月号 P19
歌唱については、言うことなし。さすがセンターを2回経験しただけの経験値が垣間見える。そう感じたのは、2幕開幕直後の「memory 愛の記憶~A cappella~」。曲のタイトルから分かる通り、ここは1人アカペラで歌い上げるのだが、ここはシーンの特性上、うさぎの気分はどうしても気が重くなってしまうと思われるのだが、実際の井上の過ごし方もどんよりとしたことが多かったという。
一幕終わり〜二幕頭って結構自分の中で重くて舞台から捌けてもズルズルと気持ちを引きずって大体1人で着替え小屋の中でぼーっとするのがルーティンでした
それでも、心の余裕が生まれてのこの写真には、エースとしての風格さえ感じる。
水野亜美/セーラーマーキュリー
TEAM STAR:中西アルノ

続いて登場するのは、模試全国1位でIQ300とも噂されている、セーラーマーキュリーこと頭脳派の水野亜美ちゃん。TAEM STARでは、我が愛する推しの中西が演じた。
まず、演技から触れていこうと思うが、超・乃木坂スター誕生!のスキッツでは、多くのコントに出演し、名バイプレーヤーとして足跡を残し続けたのは言うまでもない。何が言いたいのかというと、今回のセラミューで舞台に立った5期生10人の中で、一番役作りをしていないように見えた。つまり、一番自然だったということである。実際問題、乃木坂工事中の頭NO王では5期生中2番目に成績優秀であったことからも、頭の良い亜美ちゃんを演じやすかったのではないかとも取れる。
そして、中西を語るうえで忘れてはいけないのが、誰もが認める歌唱力の持ち主であること。しかし、1度目の観劇時には何か変な違和感を覚えた。いや、これでもやっぱり上手いなとは思ったけど。
この違和感は、おそらく期待値が高いが為の違和感なのだろう。だとするとどこに問題があったのか。音楽ド素人なりの見解ではあるが、音域に原因があったと思われる。
マーキュリーのMake Up組曲は、他の4戦士の組曲に比べて全体的にキーが高め。普段の乃木坂46としての中西が歌う楽曲は、もう少しキーが低い曲が多い。1度目の観劇は、スタートしたばかりのSTAR3公演目で、感覚を掴めていなかったのかもしれないが、そこから1週間足らずで完璧に修正してくるあたり、中西のポテンシャルの高さを改めて感じた。
TEAM MOON:小川彩

TEAM MOONで、セーラーマーキュリーこと水野亜美ちゃんを演じたのは、5期生最年少の小川。
まず、5期生最年少の口からは飛び出す「Xの二乗はYと…」のセリフ。その時点でギャップにやられてしまった。
亜美ちゃんなりの冷静さの中にも、小川から溢れ出る最年少の幼さや純粋さは、亜美ちゃんそのものであったなと感じた。
演出のウォーリー木下氏は、小川を「冷静と情熱の両方を持っている」と評する。それを聞いた小川はこう語る。
私は普段から「冷静だね」と言われることが多くて、感情が表に出にくいタイプなんです。だから感情を伝えなきゃいけない舞台では苦戦して。そんなとき、キャストの方が「オーバーだと感じるぐらいの感情を出しても、亜美ちゃんの冷静さは残るはずだから大丈夫だよ」とアドバイスをくださったんです。それからはいい按配で演じることができたんじゃないかと思います。EX大衆7月号 P17
演劇を経験したことがある自分も、これにはめちゃくちゃ頷いた。板の上では、少しオーバーぐらいがちょうど良かったりする。歌唱や佇まいは実際の小川っぽさを残しながらも、亜美ちゃんが持つ頭脳明晰で冷静らしい姿は、小川にしか出せない唯一の味だったと思う。
歌唱は、相方のマーキュリーがずば抜けた歌唱力の持ち主だけあって、否が応でも比べられてしまいがちだが、小川の歌唱力をナメてはいけない。小川の純粋な歌唱力に、相方の歌唱から吸収したポイントを如何なく発揮させており、さらなる成長が楽しみになった。
火野レイ/セーラーマーズ
TEAM STAR:一ノ瀬美空

続いて登場するのは、セーラーマーズこと火野レイちゃん。家の手伝いとして、火川神社の巫女の仕事をする子である。TEAM STARでは、一ノ瀬が演じた。
みーきゅんマーズと後述するおかひなマーズ、2人に共通して言えるのだが、レイちゃんのシーンは、「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」と唱えるところから始まり、うさぎちゃんが登場するまで、長めの一人語りがある。その他にも、長ゼリフが多くあるマーズという役柄を、率なくこなす演技力が素晴らしすぎた。
そして、一番驚かされたのは歌唱である。普段の一ノ瀬は、とにかくキュンキュンのあざといキャラが一番の魅力という人も多いだろう。しかし、みーきゅんマーズには、その面が一切なくとにかくクールでカッコいい姿があった。マーズのMake Up組曲は、とにかく低音が響きまくるのだが、それも難なくこなしたのには、頭が上がらなかった。
一ノ瀬は現在、TBS「THE TIME,」の水曜レギュラーとして出演中。セラミューの期間中、2週お休みをいただき(そのうち1週は元レギュラーの梅澤美波が代打出演)、マーズとしてとにかく集中しまくった。公演を終え復帰した際に、総合司会の安住紳一郎アナから「可能だったら決め台詞を一つ…」とおねだりされた一ノ瀬。そこで選んだのが「悪霊退散!」であった。セラミューロス真っ只中の人にとっては、聞けた嬉しさ半分、ロスが加速する気持ち半分だったのではないだろうか。それでも、一部からは、「見にいった時より進化している」との声もあり、まさにこれも成長の証と言えるだろう。
そんでもって、その後に照れるのも一ノ瀬らしい。朝から微笑ましい光景に包まれた。
TEAM MOON:岡本姫奈

TEAM MOONでは、岡本がセーラーマーズを演じた。
Team MOONの公演を見るにあたって、一番楽しみにしてたのが、このおかひなマーズであった。岡本といえば、昨年4月から体調不良によりの半年間の休養を余儀なくされていたのは周知の事実。その間、他の10人は、超・乃木坂スター誕生!のスキッツで、演技力に磨きをかけ続けていた。少なくとも、この時点で岡本はハンデを背負っているわけだったが、そのハンデを感じさせない迫真の演技であった。
千秋楽の配信を見ながら、ハッシュタグのポストを追っかけていたのだが、凄く頷くポストを見つけた。
初演の乃木坂46版セラミューにて、セーラーマーズを演じた1期生の高山一実。私が高山推しだからというのもあるのだが、声の出し方や組曲の歌い方が、どことなくかずみんマーズと重なる部分がある。
逆にそれ以外の演劇パートでは、19年版セラミューでマーズを演じた早川聖来のようにも聞こえる。かずみんマーズとせーらマーズのいいとこ取りをしたのが、おかひなマーズという方が分かりやすいだろうか。
余談ではあるが、おかひなマーズにめちゃくちゃ感動した私は、終演後に岡本のトークを新たに取った。
木野まこと/セーラージュピター
TEAM STAR:冨里奈央

続いて登場したのは、セーラージュピターこと木野まこと。愛称まこちゃんである。TEAM STARでは、冨里が演じた。
私の観劇前から前評判がとにかく良かった、なおなおジュピター。SNSでは、「すごい」「ヤバい」「これ、本当になおなおなの?」と、言うほどの超イケメンボイス。第一声の「危ないよ、気をつけな」から、心を掴まれた人が多数いた模様。漏れる事なく私もその1人である。
その後の海野の「は、迫力…」というセリフが続くのだが、それにも負けない迫力がそこにはあった。
普段の冨里といえば、とにかくもちもちしていて、発言からも可愛さ満点であるが、その人格をゼロにして演じた事が評判の良さの要因だろう。
そのことは歌唱面にも。ジュピターのMake Up組曲の前には、舞踏会でダンスを共にしていたネフライトに裏切られ、大きなショックをぶつける場面があるのだが、その流れから続く組曲は、まさに一級品という言葉が似合う。
ジュピターは、歌唱だけでなくまこちゃんとしての時点からとにかく声が低いのだが、とにかく普段の冨里からはかけ離れた低音ボイスで歌い続けることは、どんな俳優でも至難の業と言えると思う。それを初舞台でやってのけるあたり、冨里の今後が楽しみになった。
7月1日に放送された日本テレビ「超・乃木坂スター誕生!」で、5期生11人全員で「ムーンライト伝説」をフルコーラスで歌唱した。2人のマーキュリー、マーズ、ジュピター、ヴィーナスが揃って歌うパートがあったのだが、なおなおジュピターといおちゃんジュピターは、あの時を彷彿させるかのような低音で歌唱を披露。セラミュー亡霊が一気に興奮したのが言わなくてもわかる瞬間だった。
TEAM MOON:五百城茉央

TEAM MOONでは、五百城がまこちゃんを演じた。
実は、今回の5戦士10人の総評を述べるにあたって、一番悩んだのがいおちゃんジュピターであった。いおちゃんジュピターをどう表現するべきか。
相方のなおなおジュピターが、低音ボイスで魅了するなら、対するいおちゃんジュピターは、人間味のあるジュピターとでも表現すべきか。
それぐらい、今回のセラミューのジュピターは、相方のジュピターが存在感を大きくしていただけに、五百城の心の中にも負けてられないという強い気持ちがあったことだろう。
五百城は、他の5期生・10人に比べて、地声がやや低めだと感じる。なおなおジュピターが思いっきり低音を作ってきたのに対し、いおちゃんジュピターは元々のアドバンテージを使って発声していたのも、人間味がある要因に繋がったと思う。
歌唱については文句なし。他のMake Up組曲よりも、随分と低音が強調されやすいジュピターの組曲を、何も引っかかることなく歌い上げていたのは、マジでビックリした。おかひなマーズの短評(観劇直後に簡単にまとめたポスト)に「のびしろしかないわ」と、Creepy Nutsの歌詞のようにまとめたが、こちらも「のびしろしかない」のは間違いない。区別をつけるなら、おかひなマーズは演技ののびしろ、いおちゃんジュピターは歌唱力ののびしろとでも言っておこうか。それぐらいの素材であることだ。
愛野美奈子/セーラーヴィーナス
TEAM STAR:川﨑桜

セーラー戦士の中で一番最後に登場するセーラーヴィーナスこと愛野美奈子。Team STARでは川﨑が演じた。
アルノマーキュリー、みーきゅんマーズ、なおなおジュピターは、とにかく普段の声質からはかけ離れた声質でそれぞれの戦士を演じているのだが、さくたんヴィーナスは、いい意味でそのまんまの川﨑であった。(これは後述する、てれヴィーナスにも言える。)
舞台冒頭、8ニュースで「宝石強盗事件をセーラーVが解決した」とあるが、それが後のセーラーヴィーナスのことである。4戦士との合流前から、データなどで敵の情報を調べており、一番最後に出てくるには結構重要な役どころである。(2幕にある、月に行こうという提案をしたのもヴィーナス)
先ほど、「川﨑そのまんまのヴィーナス」と書いたが、変に役を入れず、ありのままの姿で演じることによって、セーラー戦士を引っ張るヴィーナスの意地というのを感じ取れた。
それは本人も語っている。
最初は、瑛紗と比べてしまって、「負い目」を感じていたんです。木下さんからの言葉で、自分らしさを取り戻して。「アイドルらしくいよう」と意識しました。EX大衆7月号 P13
変に気負うことなくありのままの姿でいい。それが正解だったと言えるのは、その後に放送された乃木坂工事中で、バナナマン・設楽統とのやりとりからも見て取れる。
設楽:川﨑、舞台(セーラームーン)どうだった?
川﨑:舞台、めちゃくちゃ楽しかったです。
設楽:やっぱ舞台って、みんな楽しい感じなんだ。
川﨑:舞台のおかげで声が大きくなりました。乃木坂工事中 #465 深夜の飯テロクイーン選手権 後半
さすがの爆声モンスターの日村さんには負けてしまったが、声が大きくなったという川﨑の、これからの成長が楽しみだ。
TEAM MOON:池田瑛紗

TEAM MOONでセーラーヴィーナスこと愛野美奈子ちゃんを演じたのは、5期生最年長の池田。
私が観劇した回(4/28)では、詳しい箇所は忘れてしまったが、感情が入りすぎてセリフの声が裏返っていた。あーやマーキュリーの所でも書いたが、演劇ないし舞台では、少しオーバーにやるくらいが丁度いい。てれヴィーナスの声の裏返りは、それだけ自分の感情を美奈子ちゃんに乗せて演じていることを意味すると思う。出来るのならば声の裏返りは無い方が望ましいのであるが、私はそれぐらいが好きである。
そして、池田とセラミューを語る上で忘れてはいけないのが、ケガのことだろう。
4/12の初演前、いきなりこのような発表があった。
まさかの形で発表があった池田のケガ。観劇予定だった、さくたんヴィーナスが袖で待機するなど、一時はどうなる事かと心配されたが、初演は1時間遅れで開演し、無事に完走。安堵したファンも多かったのではないだろうか。
その時のことを池田はこう振り返る。
アクシデントで「出られないかもしれない」という状況になった時は、ショックでした。まだ会場でリハーサルしていないさくたんが私の代わりに入る準備をしてくれていたからこそ、「舞台に立ちたい」という気持ちが強くなったんです。その後の公演でもさくたんがスタンバイしてくれたことが、自分にとって支えになっていました。EX大衆7月号 P13
これもWキャストの強み。
皆様へのご報告と感謝とお礼 #乃木坂46版セラミュー 池田瑛紗 こんにちは乃木坂46 5期生の池田瑛紗(いけだてれさと読みます)です。私のブログを読みに来てくださりありがとうございまwww.nogizaka46.com
上記のブログでも少し触れていたが、ケガを考慮してなのか、TEAM STARと比べると多少の演技プランの変更があった。
1幕最後の♪運命の五人〜Sailor Destiny〜。
TEAM STARでは、命を落としたタキシード仮面(エンディミオン)(の頭)を膝の上にのせたムーンを囲うかのように、他の4戦士が歌唱する構図になっているのに対し、TEAM MOONでは、にゃぎムーンを含めた5戦士がタキシード仮面の近くで踊っていた。
また、2幕にも違いがある場面がある。
月に降り立った5戦士が、クイーン・セレニティに向かって最敬礼する場面。TEAM STARでは、しゃがみ込んでいたが、TEAM MOONは立ったままの最敬礼。どう考えても、怪我を考慮したプラン変更としか言いようがない。
池田の怪我という、まさかのアクシデントにより余儀なくされた演出のプラン変更。それでも何事もなかったかのように完成させてしまう5人をたくさん褒めてやりたいと思った。
池田と川﨑は、お互いに遅れて5期生の活動に合流、お見立て会は22年4月開催の第2回で特技披露をしている。そして、2人が演じたセーラーヴィーナスも、他の4戦士に比べて遅れて登場する。気づけるようで気づけなかったこの配役は、合点しかなかった。そしてその役、お互いに助け合いながら完璧に演じ切ったのはお見事以外の言葉がない。
そのほか。
奥田いろは(クイーン・セレニティ)

今回の公演にはもう一人、忘れてはならない人物がいる。
クイーン・セレニティを演じた奥田いろはである。
彼女は、この公演の1ヶ月後に控えたミュージカル「ロミオ&ジュリエット」のジュリエット役(Wキャスト)に大抜擢されており、このセラミューが発表された際には、「いろははどうするのか」という声が相次いでいた。
しかし蓋を開けてみれば、映像出演のクイーン・セレニティ役。過去2回は白石麻衣が演じたポジションである。
なるほど、その手があったか。
それでもしっくりくるお母さま感。さすがの一言である。
セラミューの上演が終わった直後のオンラインミートアンドグリートで、奥田にセラミューのことについて少し聞いてみた。
本人も、4月14日のTEAM MOON公演を観劇しに行っており、おそらくその場で自分の演技を初めて目にしたと思われる。そして、その日の乃木メで「恥ずかしかった」と振り返っている。
奥田曰く、「自分の目の前にはカメラしかいないのに、カメラ(の向こうにいる演者)に向かってお芝居をしなくてはいけない」感覚が掴めなくて難しかったという。そんな、映像出演というハンデを背負いながらも、ここまでの存在感を残したいろぱ・セレニティ。「ロミジュリでも大丈夫っしょ!」と思わずにはいられなかった。そして実際にそうである。
どんな形であれ5期生11人全員で出演し、全員で完走が叶った今回のセラミュー。それを象徴したのが、カーテンコールであった。
後ろのスクリーンに映し出されたいろぱ・セレニティに向かって、大きな愛情表現を見せたセーラー戦士たち。言葉にせずとも、5期生全員でセラミューを作り上げたということがよく分かる光景だった。そして奥田推しの私は、毎回ここで泣いていた。(それが、ミーグリの「生きてますぅ〜」に繋がったと思う)
四天王+クイン・ベリルのギャップ、ヤバすぎるやろ。
セラミューにおいて欠かせない存在なのが、セーラー戦士の敵となる、ダーク・キングダムの四天王とクイン・ベリルであろう。
クンツァイトの飛龍つかささん、ネフライトの瑠衣まきせさん、ゾイサイトの明音亜弥さん、ジェダイトの大原万由子さん、そしてクイン・ベリルの松原凛子さん。
セーラー戦士10人は、この5人のチカラで大きく成長することができたはずだ。
4/29の大千穐楽のカーテンコール。現地や配信で観劇していた誰もが思ったこと。
今回のセラミューで四天王を知った人にとっては、素の姿を見るのがこのタイミングが初めてであった人も多かったことだろう。それ故に自然と出た観客の驚きのリアクションが物語る。
この5人、舞台最後のスペシャルライブでも全力応援をしていたという。袖から全力で応援していたというのだから、この期間で作り上げられてきた絆の深さを実感した。
上演から半年が経つが、セラミュー以降にも多くの舞台に立つ4人を、5期生もわざわざ観劇に行く程の仲の良さ。
これも、5期生がさらなる高みを目指す一つのきっかけであって欲しい。
ちなみに、1幕冒頭の「おはよう8ニュース」の曲中にセリフがあるのだが、このセリフは四天王の4人が担当しているらしい。
と、オンラインミートアンドグリートの定点カメラで言っていた。
そして、千秋楽から数日経ったある日。まさかの形で5人が再集結していた。
場所は、なんとディズニーランド。
インスタグラムから見る限り、本当に楽しそうな5人。乃木坂46がきっかけでこうやって仲良くなっていただけたのも、なんだか嬉しいものだ。
劇中歌が魔曲すぎる。
最初の観劇後から薄々勘づいていたのだが、セラミューの劇中歌がエゲツないほど脳内リピートしている。仕事中にも口ずさんでしまうほど。
特に好きなのが、1幕最後の♪運命の五人〜Sailor Destiny〜である。
プリズムで結ばれた 私たちのハートを
夜空に瞬く光集めて 月明かりの下輝き出す
ただ一つの奇跡 待ってたの
ひとりじゃないよ こんなにも煌めいて
ただ一つの月 見つめてたの
今は見えない星たちも煌めいて
さあ今 月よ星よ 私を導いて
さあ今 月の星の 遠い記憶 遥かな願い
ムーン 「お願い、目を開けて。目を…」
全員 「幻の銀水晶⁉︎」
全て今度こそ 手にいれる
奪え 幻の銀水晶
永遠の命 永遠の力
あの涙こそ 銀水晶
クイン・ベリル 「今だ、奪え!奪うのだ!」
四天王 「奪え!奪え!」
幻の銀水晶(捧げよ)
大いなる支配者に(奪え 奪え)
幻の銀水晶(捧げよ)
大いなる支配者に(奪え 奪え)
ただ一つの奇跡 待ってたの
ひとりじゃないよ こんなにも煌めいて
ただ一つの月 見つめてたの
今は見えない星たちも煌めいて
五戦士 「えぇ?」
消えていった(すべて) 銀水晶(今度こそ)
よみがえる(奪え) 私たちの恋(奪え)
どうなるの(すべて) 私たちの未来(この闇に)
失われた(消えてゆけ) 遠いさだめ
この、もうすぐ1幕が終わると言わんばかりのサウンド、そして構成と壮大さ。
ちなみに、のちに観劇した、奥田出演のミュージカル「ロミオ&ジュリエット」でも、1幕最後の劇中歌「エメ」がめちゃくちゃ好きなので、どうやら私はこういうタイプの劇中歌が特に好きみたいだ。
その他にも、セーラー戦士のMake Up組曲であったり、♪運命の貴女へもいい歌詞すぎる。出来るのなら、サントラで毎日聴いていたいぐらいだ。
セラミューオリジナル楽曲なのが本当に惜しい。
演出家の発言の意図
今回の乃木坂46版セラミューの演出は、過去2作に続きウォーリー木下氏が担当。その木下氏が大千穐楽後、X(旧Twitter)にこんなポストをしていた。
再演(新しく作り直せて)良かったです。
この一文が妙に引っかかる。果たしてどこを作り直したのか。
その答えは、案外すぐ出てきた。
それは、1幕終了直前。それこそ、♪運命の五人〜Sailor Destiny〜の場面である。(何度も同じ場面を引き合いに出してしまい申し訳ない)
5期生版のTEAM STARでは、命を落としたタキシード仮面(エンディミオン)(の頭)を膝の上にのせたセーラームーンを囲うかのように、他の4戦士が歌唱する構図になっており、セーラームーンはこの曲中ではタキシード仮面のそばからは、ほとんど離れない。
それが、2019年版(セーラームーン:久保史緒里)では、セーラー戦士全員がステージ前方に出てきて、ガッツリ踊っているではないか。
当然ながらその最中は、タキシード仮面は後方でただ一人横になっている。
なんなら、この曲が始まる前のこのセリフ。ここも構成が違っている。
ヴィーナス「思い出した。私たちは!」四戦士「プリンセス・セレニティを守る、守護戦士。まるで昨日のよう、あたしたちの記憶。思い出したわ。美しい景色、月の上の王国、シルバー・ミレニアム。私たちのプリンセス!」(曲へ)
上記は5期生版セラミューのセリフ回し。下段の長ゼリフは、最初から最後まで四戦士で声を合わせてユニゾンしている。
それに対し、2019年版はというと。
ヴィーナス「思い出した。私たちは!」四戦士「プリンセス・セレニティを守る、守護戦士。」純奈ジュピター「まるで昨日のよう」せーらマーズ「あたしたちの、記憶」葉月マーキュリー「思い出したわ」まゆたんヴィーナス「美しい景色」四戦士「月の上の王国、シルバー・ミレニアム。私たちのプリンセス!」(曲へ)
区切りに区切っていた。
(このブロックを書くために、Huluで見直したら気がついた。)
では、先ほどの木下氏の発言の意図はどこにあるのか。
それは、EX大衆7月号に掲載されている、木下氏へのインタビューに書かれていた。
前回と演出を変えたところもあったと思います。「だいぶ変えました。脚本はイジらないで、演出だけで前回と違うものを作ろうと思っていたんです。」(中略)「18年と19年の時は『ショーを作りたい』気持ちが強かったんですが、今回は『ミュージカルにしたい』と思いました。歌うことでドラマチックに心情を伝えて、セーラー5戦士の感情が浮き彫りになるような作品にしたかったんです。」EX大衆7月号 P18-19
なるほど。このインタビューを見てから、先ほどのシーンを見直してみると、前回はショーっぽさが残る感じがわかる。東京ドームシティーの戦隊ヒーローのステージショーと言い張れば、通用しそうな演出と言っても過言ではないと思う。
そこから4年半。全員初舞台の5期生に、この路線変更をする勇気も多少あったはずだ。それでも、素晴らしいポテンシャルを持つ5期生にそれを託した木下氏、そして、それに期待以上のアンサーを出した5戦士10人のチカラ。これらが揃わなくては、こんな素晴らしい舞台を作ることができなかったはずだ。愛よりも大きな拍手を贈りたい。
2つのチームを観劇して思ったこと。
冒頭にも述べたが、私は今回のセラミューはTEAM STARを2公演、TEAM MOONを1公演の計3公演を観劇することができた。
Wキャストであるがために、どちらが良くてどちらがダメだったとかは到底言うつもりはないし、考えるつもりもないが、否が応でも比較はしてしまうもの。では、どう言えば丸く収めつつことができるのか。
私が出した答えはこうだ。
さっちゃんムーン率いるTEAM STARは、5戦士それぞれの存在感が際立っており、各々でも勝負ができている感覚。5戦士の登場シーンでは、各々が持つポテンシャルに、今回のセラミューの期間で得たスキルが相まって素晴らしいものに仕上がっていた。それこそ、先ほどあげたシーンのような、5戦士ないし4戦士が声を合わせて言うセリフも、キレイに聞こえていた。
それに対し、にゃぎムーン率いるTEAM MOONは、TEAM STARがその形で勝負するのなら、我々は団結して勝負している感覚があった。「個」も素晴らしいものがあるのだが、それだけではカバーしきれない部分は、5戦士が一致団結して挑む感じがしたのだ。
セラミューを見た人それぞれ、抱く感想も人それぞれ。あなたの感想も聞いてみたいので、ぜひコメント欄に書いてもらいたい。
さいごに
5期生が加入して来年で丸3年。そういえば、諸先輩が必ず通ってきた「プリンシパルシリーズ」を5期生は経験していない(プリンシパルについての説明は割愛)。そうなると、今回のセラミューは実質、5期生によるプリンシパルとも言える。(従来のプリンシパルシリーズは、選ばれた数人が演じるので、そもそも形が異なる)。プリンシパル未経験、しかも5期生全員が舞台初挑戦という中で、最高の空間を作り上げのは、5期生・11人の努力の賜物であろう。
あれから半年、クリスマスの12/25に、Blu-rayが発売になった。
亡霊の仲間よ、年末年始はあの頃の興奮に戻ろうじゃないか。